出会い系でやりとりした女性
その女は彼氏と大喧嘩して、ムシャクシャして出会い系をやったらしい。
誰でもよかったみたいで、僕がメールするとすぐ会う約束ができた。
たぶん、一度出会い系でエッチしたら、それでやめるつもりだったのだろう。
それがあんなことになるとは、彼女も運が悪いよ。
女の名前はチナミ。25歳で看護師をしていた。彼氏は同じ病院にいたレントゲン技師。いまは別の病院に勤務しているそうだ。
看護師は勤務が不規則だから、それも喧嘩の原因のひとつらしい。
僕がチナミと会った日は、ちょうど彼氏が法事で実家に帰っていたときだった。
大喧嘩したのは、彼氏が実家に帰る前日。何が原因か知らないけど、チナミが彼氏に向かって、「謝れ、謝らないなら浮気してやる!」と啖呵を切ったらしい。
それでも彼氏は謝らなかった。
怒った彼女は出会い系に入会して、僕と会うことになったというわけだ。
単なる痴話喧嘩にすぎなかった。
たぶん、2人はすぐ仲直りするだろうし、ここで浮気なんかしたら彼女は一生後悔することになる。
本当なら、そうアドバイスしてやりたいところだけど、いや実際、彼女と会うまでは、半分くらいそう思っていたけど、会ってみたら考えが変わったよ。
彼女、すごい美人なんだよ。それだけじゃない。胸も大きくて、色気というか、フェロモンムンムンで、とにかくソソる女だった。
こんな女、一生抱けるチャンスないってほどの女だったよ。そのチャンスをみすみす逃すってあり得ないでしょ?
ということで、彼氏には悪いけど、僕はチナミをいただくことにしたんだ。
彼女だって、誰かとエッチしたいんだから、何も問題ないよね。
飲みに連れて行くと、彼女は彼氏の不満をぶちまけた。といっても、服装がダサいとか、食べ物の好き嫌いが多いとか、釣りが好きで1日中釣り堀に付き合わされるとか、そんな程度のことだけどね。
僕は彼女のご機嫌を取りたくて、
「ふーん、ひどいね」
「さいてーだなそいつ」
なんて相槌を随所で打っていた。
チナミは自分が正しいことをわかってもらえたのがうれしくて、
「でしょう、でしょう」
と、上機嫌で笑顔を見せていた。内心、もらったと思ったよ。
とうとうチナミは、彼氏のエッチのことまでケチをつけ始めた。
これはいい流れだぞと、僕も話に乗る。
「とにかくエッチがヘタだし、すぐ入れたがるんだよね」
僕は股間を熱くしながら聞いていた。
「もしかして、彼氏はすぐ終わっちゃうとか?」
「うん、なんか早い」
言ったあとで、チナミは口を押さえてキャハハと笑った。
「じゃあ、彼氏のエッチではイカないの?」
「うん。あんまりイったことない」
「前の彼氏のときは? イってた?」
「うん。いつもイってた」
美女を前にエロトーク全開で、股間は痛いほど突っ張っていた。
「じゃあ、彼氏は下手なんだね」
僕は彼女の不満を掘り出そうと躍起だ。
「そうなの」
「俺は結構自信あるよ」
「へー。ほんと!」
チナミはトロンとした眼差しで僕を見た。間違いなくエッチをしたがってる目だ。
と思った。
ここはちょっとおしゃれな洋風居酒屋。僕とチナミは、ガラスのテーブル越しに向かい合っている。
ガラスだからチナミの下半身が見えているんだけど、さっきから、さかんに足を組み変えてるんだ。
「足をモジモジさせてるけど、濡れてるんじゃない?」
「えー、そんなことないよ」
「だって、なんかそわそわしてるよ」
「しらなーい」
チナミの頬は桜色になっていた。うるんで焦点の合わない目を見ると、かなり酔っているのがわかる。
「そろそろ行こうか」
「うん」
僕は伝票を持って立ち上がった。
店を出て歩きながらチナミの手を握ったら、彼女も握り返してきた。
もうもらったようなものだ。僕の股間はカチカチになっていた。
僕は歩く方向を変えて、タクシー乗り場に向かった。
「チナミの部屋に行ってもいい?」
と聞くと、
「私、一応彼氏いるんですけど」
と拒否の姿勢。
チナミは僕をおいてドンドン歩き出して、停まっているタクシーに乗り込んでしまった。
タクシーの中の彼女を呆然と見ている僕。
怒らせちゃったか・・・。
すると、チナミがニコっと笑って中から手招きしてくれた。
なんだよ、あせっちゃったよ。
僕が乗り込むと、チナミは運転手に住所を告げて、10分ほどで彼女のアパートに着いた。
そこはワンルームのきれいな部屋だった。ベッドもクッションもピンク系統でまとまっていて、かわいいグッズで部屋中いっぱいだ。
手を洗おうと洗面所に行くと、コップの中に男物の歯ブラシとシェービングクリームが置いてあった。
この部屋で好きなだけチナミを抱いてる男がいる。僕は顔も知らないその男に、軽く嫉妬していた。
チナミはビールを出してくれた。バドワイザーだ。彼女がこんなビールを飲むとは思えないから、きっと彼氏の好みだろう。そう思ったら、無性にムラムラしてきた。
チナミを抱き寄せてキスすると、彼女は驚いて顔をそむけた。
「言ったでしょ、私には彼氏がいるって」
チナミはそう言ったくせに目を閉じるんだ。
これって、キスしてくれってことだよな。どっちなんだよ。
まあいいや。キスしちゃえ。
僕はチナミの顎を押さえて、ぶちゅぶちゅっと激しくキスした。
「んっ、やっ」
チナミは嫌がったけど僕はやめない。
そのままカーペットの上に押し倒して、キスしながらブラウスのボタンを外していった。
「待って、シャワー浴びさせて」
チナミは起き上がって服を脱ぎ始めた。
「一緒に浴びる?」
「ああ、いいよ」
チナミにうながされ、僕も全裸になって一緒にシャワーを浴びた。
ボディシャンブーを塗って洗いっこしていると、
「胸ばっかり洗ってやらしい」
チナミは息を荒くして言った。乳首をいじると、立っていられないほど震えている。
股間を洗ってやるといって、逃げるチナミを捕まえて黒々としたヘアの奥に手を伸ばすと、彼女は激しく喘ぎ始めた。
チナミの喘ぎ声がエロくて、僕はもうやりたくてたまらない。
ベッドに戻ったら、すぐ咥えてきた。お返しにクンニしたらチナミのやつ、すごい声で喘ぎまくるんだ。
クンニが終わると、チナミが出してくれたコンドームをつけて、ぐったりした彼女を腰の上に乗せて、騎乗位で挿入した。
奥まで入れると、
「おうっ」
チナミは太いうめき声をあげて、激しく腰を振り始めた。まるで腰だけ別の生き物みたいに荒れ狂う。
チナミの中は締めつけがきつく、奥に進むほど狭くなる構造で、そこに向かって突き入れるからドンドン気持ちよくなってくる。
下から手を伸ばして小ぶりな胸を揉むと、その上に手を重ねてきて、ギュッと僕の手をつかんだ。
かなり感じてるみたいだ。
そろそろエクスタシーが近いなと思ったときだった。
突然玄関でガタンと音がしてドアが開いた。最初に紙袋を持った腕が見えて、
「チナミー、いるかー」という声が聞こえた。
チナミはギャっと悲鳴をあげて、僕の上から飛びのいて布団で顔を隠した。
紙袋の男は玄関で棒のように突っ立ていた。
やべ!
彼氏だ!
どーすんだよ。
チナミは頭だけ隠して下半身丸出しの間抜けな格好で、わーわー叫んでいる。
むき出しの尻を僕に向けてるから、性器が丸見えだ。直前まで僕のペニスを咥えこんでいたそこは、まだ閉まりきらないで指1本くらい黒い穴が開いていた。
チナミが玄関の男に向かって叫んだ。
「あんた、帰るのあさってだって言わなかった? どうして言ったこと守んないのよ!」
「いや、ごめん。喧嘩したままだったから、早く謝りたくて・・・」
「だったら、なんで電話くらいできないの!」
もうムチャクチャだ。
「いや、びっくりさせようと思って・・・」
「もう十分びっくりしたよ」
これは笑えたな。
「これ、くず餅。田舎の名物。ここに置いとくね」
男は紙包みを置いて帰って行った。
あっけなかった。
てっきり修羅場かと思った。いや、修羅場にならなくてよかったけど。
チナミは顔を伏せて泣いていた。
もうセックスどころではない。僕はシャワーを浴びようとベッドから降りた。
するとチナミが僕の手を掴んで、
「ここにいて。お願い!」
とすがってきた。
僕はチナミが泣き止むまで、そばにいてやることにした。
「あの人、どう思う?」
しばらくするとチナミは泣き止んで、僕に聞いた。
「どうって?」
僕はチナミの髪を撫でる。
「あなただったらどうする? 自分の彼女が他の人とエッチしてるの見たらどうする?」
「たぶんめちゃくちゃ暴れるな。殺すかもしれない」
「でしょう」
さっきの彼氏の態度は、僕も変だと思うと言った。
「正直、殺されるかと思ったよ」
「普通そうだよね。でもあの人は自分が謝って帰っちゃうんだ」
僕は、チナミが彼氏と喧嘩する理由がわかったような気がした。
「そうだ、あれ、おいしいんだよ!」
チナミは玄関から、彼氏が置いていったみやげを持ってきた。
バリバリと包装紙を破って中身を出す。
チナミはくず餅を皿に乗せた。
「食べる?」
ひとつ食べたけど、味なんかわからない。
てか、俺が食っていいのか?
チナミは泣きながらくず餅を食べていた。
「あの人、実家に帰るといつもこれ買って来てくれるんだ。なんとかって賞を取った地元の名物だって」
いま、そんなプチ情報いらないし。
なんなのこいつ。
「これ食べるの最後かなあ」
チナミはティッシュで目尻を拭いて、おいしいと言ってまた食べた。
チナミは、残ったくず餅を冷蔵庫にしまってベッドに戻ってきた。
「さ、続きをしようか」
「は、この状況で?」
「だめ?」
彼氏も変だけど、チナミもおかしい。
チナミは、すっかりしぼんでしまったペニスを握ってしごき始めた。
慣れた手つきに、ペニスがすぐ反応する。
半立ちになると、チナミはコンドームを外してペニスを咥えた。こんな状況で僕にフェラチオするチナミの神経もわからない。気持ちいいけど。
完全に勃起すると、チナミはまた上に乗ってきた。尻を落として根元まで入れると、すぐに激しく腰を振って、
「あっ、あっ」
と声を上げる。
チナミは目を閉じて一心不乱に腰を振っていたけど、やがて上半身をくねらせて絶頂に達し、同時に僕も果てた。
シャワーを浴びて、残りのビールを飲んだ。
チナミを抱いて気持ちよかったけど、ぬるいビールみたいに後味が悪い。
チナミはシャワーから出て裸のままでいた。ベッドの上であぐらをかいたり、体育座りしたりしている。
半ばセックスする気が失せた僕を奮い立たせようと、さかんに股間の奥を見せつけてくる。
彼女は、何度もセックスしないと済まないタチらしい。あるいは、彼氏に浮気を見られて変に興奮しているのか。
チナミが新しいビールを持ってきて、立ったまま僕に手渡す。
ビールを受け取るとき、ちょうど彼女のアンダーヘアが僕の目の前だった。
その奥のワレメが濡れていた。
「これからどうするんだ?」
「わからない。決めるのはあっちだから」
チナミがあぐらをかいて、赤い口をあけたワレメがシーツに着地した。
男っぽい性格のチナミは、開き直っているように見えた。ばれたものはしょうがない。そんな感じだ。
あの男では決められないだろうな。チナミのいいようになっていくのは目に見えていた。
「よかったら俺と付き合わないか」
「えっ」
チナミは驚いて僕を見た。
思ってもないことを言われたとき、人はこんな顔をする。
って顔だった。
彼女は返事を濁して、
「考えとく」
とだけ言って、バスタオルを取って風呂場に入った。。
彼女と入れ替わりに僕もシャワーを浴びる。
出てくると、チナミはカーペットの上でファッション雑誌を見ていた。
僕もその前にあぐらをかいて座る。2人とも全裸だ。
この場面だけを切り取ったら、休日を彼女の部屋で過ごす仲のいいカップルに見えるだろうな。
シャワーを浴びたばかりなのに、体育座りしているチナミは、ワレメから粘液が垂れるほどになっていた。
それを見て、僕もビンビンになっていた。チナミが棒のようになった僕の股間を見て笑う。
お互いさまだろ。
僕はベッドに上がり、チナミを手招きした。
チナミが膝に広げた雑誌を畳んで、のろのろと立ち上がる。
よっこいしょとベッドに上がって、仰向けに寝転んだ。
正常位で入れると、チナミはすぐに喘ぎだす。
チナミは美人だしエッチの感度も抜群だ。こういう女はなかなか出会えない。
僕は、せっかく手に入れた彼女を手放したくなかった。いずれは手放すにしても、今日の今日ではあまりに早すぎる。
僕は腰を振りつつ耳元で、彼氏がいてもこっそり付き合いたいと言ってみた。
チナミは、「マジ?」と言っただけで、あとは目を閉じて快感を追いかける表情になった。
僕は、しだいに昇り詰めていくチナミを見ながら、自分も射精が近いのを感じていた。
「あっ、待って、もうちょっとなの!」
切羽詰まった彼女の声に、僕はごめんと言って先に果ててしまった。
僕がチナミの部屋を出たのは、終電が近くなってからだった。
泊まりたかったけど、チナミは泊めてくれなかった。
今夜はひとりで考えたいと言われたら、帰るしかないだろう。
僕は、そのへんにチナミの彼氏が潜んでいないか、警戒しながら歩いた。
大通りに出ると雨が降ってきた。すぐに大降りになって、前が見えないほどになった。これでは駅に着く前にずぶ濡れになってしまう。
僕は近くのファミレスに飛び込んだ。店には、僕のような先客が数人いた。
まあいいや。明日は土曜日だし、雨がやむまでビールでも飲んで待とう。
雨がやんだのは1時間近くたってからだった。
終電はもう終わっている。僕は、チナミに泊めてもらおうと電話したけど、つながらなかった。
ブラブラ歩いて、チナミのアパートまで戻ってみる。
僕のアパートまでタクシーで5千円くらいだと思う。自分の部屋に帰ってもいいけど、チナミの部屋に戻れば、彼女を抱いて眠ることができる。
下半身に漲るものを感じつつ、チナミのアパートの外階段をあがっていく。一番奥が彼女の部屋だ。
雨に濡れた通路を歩いていくと、彼女の部屋のドアノブに、男ものの傘がかけてあった。
彼氏が来てる!
僕は音を立てないようにあと戻りして階段を降りた。
その後、チナミは彼氏とヨリを戻したらしい。
あの夜チナミは、雨の中戻って来た彼氏に、バドワイザーを出したことをグチグチ言われたそうだ。
そこ?
って思うよね。
浮気より、僕にバドワイザーを飲ませたことを責められたってボヤいてた。
「どう思う?」
って聞かれた。
知らないよ。
いまでもチナミからたまにメールが来る。
やっぱり彼氏の愚痴が多いんだけど、彼女とつながりを持っていて損はないと思っている。